韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、13日、就任後初めて中国を訪問し、南京で旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」について、「韓国人たちは、この苦しい事件に深い同質感を持っている」と極めて異例の言及をし、中国に寄り添う姿勢を示して、中国との関係改善の後押しにする狙いがあるものと見られます。
韓国のムン・ジェイン大統領は、13日、北京に到着し、韓国と中国の企業合わせておよそ450社が参加した経済交流に関する会合で演説しました。
その冒頭でムン大統領は、旧日本軍が多くの中国人を殺害したなどとされる「南京事件」から13日で80年となることについて、「韓国人は、中国人たちが経験したこの苦しい事件に深い同質感を持っている」と述べました。そのうえで、日本を名指しすることは避けつつ、「北東アジアの歴史を直視する姿勢で、未来の扉、協力の扉をさらに開かなければならない。過去を省みて、苦痛を治癒する努力が必要だ」と訴えました。
韓国の大統領が、公の場で「南京事件」に言及するのは極めて異例です。
ムン大統領としては、アメリカ軍の最新の迎撃ミサイルシステム THAADの韓国配備をめぐって依然として中国と立場の隔たりがある中、14日、習近平国家主席との首脳会談に臨む前に、日本をめぐる歴史の問題で中国に寄り添う姿勢を示し、中国との関係改善の後押しにする狙いがあるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB