自民・公明両党は、所得税の控除の仕組みを見直して、年収850万円を超える会社員らを増税とする一方、自営業者を減税とすることや「紙巻きたばこ」にかかる「たばこ税」を段階的に1本当たり3円増税するなどとした、来年度の税制改正大綱の内容を固めました。
自民・公明両党は13日夕方、与党税制協議会を開き、来年度の税制改正大綱の内容を固めました。
この中では、焦点となっていた所得税の控除の見直しについて、会社員や公務員の税の負担を軽くする「給与所得控除」を一律10万円縮小するとともに、年収850万円以上の人は、控除の上限を195万円で頭打ちとする一方、すべての納税者が対象になる「基礎控除」は、今より10万円引き上げるとしています。
これによって、原則として年収850万円を超える会社員らが増税となる一方、自営業者は減税となります。
ただ、年収850万円を超える人でも、22歳以下の子どもがいる人や、重度の障害があって介護が必要な家族らと生計をともにしている人は、増税にならない仕組みを導入します。
また、年金収入から一定額を差し引く「公的年金等控除」についても、年金収入が1000万円以上の人は控除の額が195万5000円で頭打ちになるよう新たに上限を設けるほか、年金以外の所得が1000万円を超える人は控除を減らすとしています。
一連の所得税の控除の見直しは2020年1月から実施されます。
「たばこ税」については、「紙巻きたばこ」は2018年(来年)、2020年、2021年の、いずれも10月に、それぞれ1本当たり1円ずつ増税するほか、「加熱式たばこ」も2022年までかけて「紙巻きたばこ」の税額のおよそ70%から90%まで引き上げるとしています。
さらに、観光分野の政策に充てる財源を確保するため、日本を出国する際に1人当たり1000円を徴収する「国際観光旅客税」を2019年1月から導入するほか、自治体が森林整備を行う財源を確保するため、1人当たり年間1000円を個人住民税に上乗せして徴収する「森林環境税」を、2024年度から導入することも盛り込んでいます。
一方、「法人税」をめぐっては、前の年度と比べて3%以上の賃上げを行うとともに、先端技術に投資して生産性の向上を図るなどした企業の実質的な税負担の割合を20%まで引き下げるとしています。
このほか、都道府県に配分される「地方消費税」については、配分が東京などの大都市部に偏っているのを是正するとしていて、東京都では、およそ1000億円の減収となる見通しです。
また協議会では、配偶者が死亡するなどした世帯の所得税の負担を軽減する「寡婦控除」の対象に、未婚の一人親も加えることについて、公明党の要望も踏まえ、再来年度(2019年度)の税制改正論議で結論を出すことで一致しました。
自民・公明両党は、14日に与党税制協議会を開き、来年度の税制改正大綱を正式に決定することにしています。
-- NHK NEWS WEB