自民・公明両党は、所得税の控除の仕組みを見直して、年収850万円を超える会社員らを増税とする一方、自営業者を減税とするなどとした来年度の税制改正大綱を正式に決定しました。
自民・公明両党は、14日午後、政務調査会長や税制調査会長らが会談し、来年度の税制改正大綱を正式に決定しました。
大綱では、働き方の多様化を踏まえ、所得税の控除を見直し、会社員や公務員の税の負担を軽くする「給与所得控除」を一律10万円縮小するとともに、年収850万円以上の人は、控除の上限を195万円で頭打ちとする一方、すべての納税者が対象になる「基礎控除」は、今より10万円引き上げるとしています。
見直しは、2020年1月から実施され、原則として、年収850万円を超える会社員らが増税となる一方、自営業者は減税となります。
ただ、年収850万円を超える人でも、22歳以下の子どもがいる人や、重度の障害があって介護が必要な家族らと生計をともにしている人は、増税にならない措置をとるとしています。
また、年金収入から一定額を差し引く「公的年金等控除」についても、年金収入が1000万円以上の人は、控除の額が195万5000円で頭打ちになるよう新たに上限を設けるほか、年金以外の所得が1000万円を超える人は控除を減らすとしています。
そのうえで、大綱では、働き方の多様化の進展状況も踏まえ、「給与所得控除」などを「基礎控除」にさらに振り替えることを検討していくとしています。
また、「たばこ税」については、「紙巻きたばこ」は、来年10月から2021年までかけて1本当たり3円増税するほか、「加熱式たばこ」も、2022年までかけて、「紙巻きたばこ」の税額のおよそ70%から90%まで引き上げるとしています。
さらに、観光分野の政策に充てる財源を確保するため、日本を出国する際に1人当たり1000円を徴収する「国際観光旅客税」を2019年1月から導入するほか、自治体が森林整備を行う財源を確保するため、1人当たり年間1000円を個人住民税に上乗せして徴収する「森林環境税」を2024年度から導入することも盛り込んでいます。
一方、「法人税」では、前の年度と比べて3%以上の賃上げを行うとともに、先端技術に投資して生産性の向上を図るなどした企業の実質的な税負担の割合を20%まで引き下げるとしています。
このほか、都道府県に配分される「地方消費税」については、配分が東京などの大都市部に偏っているのを是正するとしていて、東京都では、およそ1000億円の減収となる見通しです。
また、配偶者が死亡するなどした世帯の所得税の負担を軽減する「寡婦控除」の対象に、未婚のひとり親も加えるかどうか、再来年度(2019年度)の税制改正論議で結論を出すとしています。
政府・与党は、14日に決定した税制改正大綱の内容を盛り込んだ税制関連法案を年明けの通常国会に提出し、速やかな成立を目指すことにしています。
-- NHK NEWS WEB