北朝鮮から来たと見られる木造船が日本海沿岸に相次いで漂着していることについて、水産業に詳しい脱北者は、手っ取り早く現金収入が得られるとして漁業に携わる人が急増するとともに、中国漁船の乱獲によって漁獲量が減ったため、より沖合に出て漁を行うようになったことが背景にあるという見方を示しました。
これは、北朝鮮東部のカンウォン(江原)道を中心に水産物の買い付けを行っていたことがあり3年前に韓国に亡命した脱北者の40代の女性が、NHKのインタビューに応じて述べたものです。
女性は、北朝鮮から来たと見られる木造船が日本海沿岸に相次いで漂着している背景について「1か月間漁に出れば1年間暮らせるほど稼ぐことができ、海産物を中国に売れば外貨も手に入る」と述べ、手っ取り早く現金収入が得られるとして住民どうしで金を出し合って中国製のエンジンがついた木造船を準備したり、軍や国営企業が所有する漁船に乗り組んだりと、漁業に携わる人が急増していることを挙げました。
また、北朝鮮指導部が沿岸の漁業権を中国に売り渡した結果、中国漁船による乱獲が進んで漁獲量が減ったため、十分な装備がないままより沖合に出て漁を行うようになったことが事故を招いているという見方を示しました。
さらに北海道の松前町沖で見つかった木造船にハングルで「朝鮮人民軍第854軍部隊」と書かれたプレートが掲げられていたことについて、脱北者の女性は「軍が一般住民に貸し出した漁船で、乗組員は軍人ではないだろう」と指摘しました。
-- NHK NEWS WEB