混戦の様相を呈しているアメリカ大統領選挙の投票日を8日に控え、金融市場では、円高や株安が進むなど、波乱含みの展開となっています。
外国為替市場では、アメリカが年内に利上げに踏み切るとの観測から9月下旬以降、円売りドル買いの動きが広がり、先月28日には、およそ3か月ぶりに1ドル=105円台まで円安ドル高が進みました。しかし、先週に入ると一転して比較的、安全な通貨とされる円を買う動きが広がり、一時1ドル=102円台まで円高が進みました。
東京株式市場でも、先週1週間で日経平均株価は500円以上、下落し、先週末の終値は、およそ2週間ぶりに1万7000円台を割り込みました。
さらにアメリカの金融市場では、投資家の不安な心理を示し、「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数が先週に入って急上昇し、6月にEU離脱の賛否を問うイギリスの国民投票の時以来の水準に達しました。
金融市場の動揺が広がる背景にあるのは、“トランプ・リスク”です。選挙戦の最終盤になって攻勢を強める共和党のトランプ候補が、もし大統領に選ばれれば世界経済の先行きは不透明感を増し、日本に対してどこまで強硬姿勢をとるのか読み切れないという不安感が高まっているのです。
たとえばトランプ候補は、選挙戦を通じ一貫してTPP=環太平洋パートナーシップ協定を「最悪の協定だ」と批判し、大統領に就任すれば直ちに離脱に取り組むと訴えています。安全保障政策では日本に対し、アメリカ軍の駐留経費の負担を増やすべきだと主張しています。
さらに為替政策でも、「日本は為替を操作して日本車を大量にアメリカに輸出している」と持論を展開しています。このため、トランプ候補が勝利すれば、円高が進むという見方が多くなっています。
大統領選挙の行方を日本の経済界も、固唾をのんで見守っています。
大手商社、三菱商事の増一行常務は、4日の中間決算の記者会見で、「為替や株式市場が荒れて困っているが、トランプ大統領が誕生した場合、さらに不透明な要因があり、しばらくの間、今以上に市況に影響が出るのではないか。われわれが適切に対応できるかどうか最も注意している」と述べました。
にわかに緊張感が高まる金融市場の見通しについて、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、「大統領選挙の結果がわかるまで、金融市場は支持率などのニュースに振り回される展開が予想され、非常に不安定な状況が週前半も続くと思われる」と話しています。
選挙結果が判明したあとの展開については、「トランプ氏が勝利の場合、政策の予見性が低下するため、市場はリスク回避に動いて株安円高の方向に動くと思う。一方、クリントン氏が大統領になる場合は、株高円安の流れが少し出るが、メール問題も含めて低い支持率が続き、政策をうまく動かせるのかどうか見極めに時間がかかる可能性がある」と話しています。
選挙結果によって、市場の動向も大きく変わる可能性をはらむだけに、投票日が近づくにつれて企業や金融市場の関係者の緊張感が高まっています。
-- NHK NEWS WEB