日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合のあとの記者会見で、平成25年に就任して以降、一貫して続けてきた大規模な金融緩和について、雇用や企業収益の改善などに効果があったとしたうえで、2%の物価目標はなお、ほど遠いとして、今の金融緩和策を粘り強く続けていく考えを強調しました。
日銀の黒田総裁は、就任直後の平成25年4月にデフレ脱却を目指して2%の物価上昇率を2年程度で実現すると表明し、国債などを大量に買い入れる大規模な金融緩和に踏み切り、その後も異例のマイナス金利政策を導入するなどしてきました。
すでに4年8か月余りにわたる金融緩和策の効果について、黒田総裁は21日の記者会見で、「金融政策だけで成果が上がっていると言うつもりはないが、雇用が大幅に改善し、企業収益も史上最高の水準になり、所得から支出への好循環が続いている。一貫した金融緩和が功を奏して現在の経済状況になっていると言えるのではないか」と述べました。
一方、金融緩和による低金利が金融機関の利ざやを縮小させて収益の悪化を引き起こしているという指摘に対しては、「状況は常に注視する必要はあるが、現段階で金融機関は充実した資本基盤もあって、近い将来、問題が生じるとは考えていない」と述べ、2%の物価目標の実現に向けて、今の金融緩和策を粘り強く続けていく考えを強調しました。
-- NHK NEWS WEB