大手広告会社、電通の新入社員だった高橋まつりさんが過労のため自殺してから25日で2年です。まつりさんの母親は「苦しみも悲しみも何一つ癒えることなく最後の日が繰り返し思い返されます。まつりが生きた証しとして社会全体が変わる方向に向かってほしいです」と今の心境を語りました。
電通の新入社員だった高橋まつりさんはおととし12月25日、過労のため自殺しました。
亡くなってから25日で2年になるのを前に、母親の幸美さんが24日、自宅でNHKのインタビューに答えました。まつりさんが高校まで過ごしてきた部屋には当時の洋服やベッド、それに愛用していた品が今も大切に保管されています。初めて取材ができた室内には遺骨の一部が安置されていて、幸美さんは「まつりのそばにいたい」と、この部屋で毎日寝ているということです。
幸美さんは「1年前も今も、まつりに対する気持ちは何も変わっていません。苦しみも悲しみも何一つ癒えることなく、最後の日が繰り返し思い返されます。助けられたのではないかと毎朝考えて目が覚めて、それは一生続くのだろうと思います」と今の心境を語りました。
幸美さんはことし3月、自宅近くの丘にまつりさんの墓を建てました。多いときで週に5日、墓参りに訪れていて幸美さんが墓に置いたノートには「ゆっくりできてますか」とか「また来るね」といった友人からのメッセージが添えられています。
幸美さんは長時間労働をめぐる日本の現状について「一部の会社が働き方改革に取り組んでも、日本人の意識が変わっていなかったり長時間労働に苦しむ人が声を上げられなかったりしています。人の健康や命を犠牲にするのが本当に正しいのか、皆で考えないといけません。自分の命までかけて頑張る必要はないし、一緒に働く人が声をかけられるような職場環境を作ってほしいです」と話しました。
そして最後に「『まつりのおかげで社会が変わった』と言える日が来たらと思っていますが、まだ変わっていません。社会が変わらなければ、まつりは何のために死んだのかわかりません。まつりが生きた証しとして、社会全体が変わる方向に向かってほしいです」と訴えました。
-- NHK NEWS WEB