今も海外に残る太平洋戦争の戦没者の遺骨を収集する事業をめぐって、使途不明金や不適正な経理処理などが明らかになったことを受けて、厚生労働省は65人の職員を停職や減給、または訓告などの処分としました。
太平洋戦争の戦没者の遺骨を収集したり調査したりする厚生労働省の事業では、現地で通訳などの費用を支払う場合に備えて、派遣する職員に経費を前払いする制度がありますが、会計検査院の調査で、昨年度までの6年間に880万円余りの使途不明金が確認されました。
さらに、前払い金を出発前に旅行会社などに支払うといった不適正な経理処理がおよそ4億5400万円に上っていたことが明らかになりました。
この問題を受けて厚生労働省は、車両代金を水増しし高額なホテルの宿泊費に充てていた課長補佐2人を停職1か月としたほか、18人を減給、20人を戒告の懲戒処分としました。
また、16人を訓告としたほか、社会・援護局長や上司の担当課長ら9人を文書による厳重注意としました。
厚生労働省は、不正な経理に直接関わった35人の職員に対し、使途不明金などの総額およそ1150万円を自主返納させることにしています。
厚生労働省は26日午後に会見を開き、社会・援護局の矢田真司援護企画課長は「戦没者の遺族をはじめ遺骨収集の関係者の皆様に多大なる心配や迷惑をおかけしたことをおわびします」と謝罪しました。
-- NHK NEWS WEB