繊維・化学大手の「東レ」は、子会社による検査データの改ざん問題で、不正の背景などをまとめた調査報告書を公表し、品質保証に対する経営陣の関心が薄く、担当部門の人手が不足する中納期に間に合わせるために改ざんを行っていたと結論づけました。会社側は今後、グループ全体で不正がないか調査を進めることにしています。
「東レ」のグループでは、タイヤの補強材などを製造する子会社の「東レハイブリッドコード」が去年7月までの8年間、顧客と決めた製品の強度などを満たしているように検査データを改ざんして、13社に出荷していたことが明らかになり、会社側は有識者で作る調査委員会を立ち上げて、不正の背景などについて調べてきました。
27日、会社側が公表した調査の報告書によりますと、子会社での不正は、期間中に品質保証室長を務めた2人だけが行ったもので、「組織的な関与はなかった」と判断したとしています。
一方で、子会社では、「品質保証に対する経営陣の関心が薄かった」と指摘したうえで、品質保証の部門で人手不足が続くなか納期に間に合わせるために不正が行われたと結論づけました。
そのうえで報告書は、「顧客との合意を厳密に守る意識が希薄であるかぎり、再び問題が発生する可能性があることは否定できない」と指摘し、再発防止策の徹底を求めています。
指摘を踏まえ、東レは、グループ全体の品質保証を統括する役員を新たに置くことや、監査体制の強化を図ることなどを再発防止策としてまとめました。
東レは、ほかの子会社でも不正が行われていなかったか、グループ全体での調査も進めていて、今年度中に調査結果をまとめることにしています。
-- NHK NEWS WEB