大手金属メーカー、三菱マテリアルの子会社が製品の検査データを改ざんしていた問題で、外部の弁護士などによる調査委員会は、シェアや収益を優先し、品質を軽視していたと厳しく指摘する中間報告をまとめました。会社側は、子会社の取締役3人が責任を取って辞任することを明らかにしました。
調査委員会が28日公表した中間報告によりますと、不正が明らかになった子会社3社のうち、三菱伸銅では遅くとも平成13年から銅製品の検査データを改ざんする不正が始まっていたとしています。
そのうえで、シェアや収益の拡大を優先し、品質を軽視していたことが背景にあるとして、「製造業を営むものとして基本的な事項がないがしろにされていた」と厳しく指摘しています。
これを受けて、三菱伸銅は、不正が行われてきた品質保証部の部長を務めた経験のある現職の取締役3人が、今月末付けで責任を取って辞任することを明らかにしました。
三菱伸銅の堀和雅社長は記者会見で、「3人が不正をどの程度知っていたかは定かではないが、不正の起きた工場で品質保証部長を務めていたことを重く受け止めた」と述べました。また、堀社長は、辞任する役員の3人は取締役会で不正について発言することはなく黙っていたのかという質問に対し「そういうことになる」と述べました。
一方、ゴム製品の検査データを改ざんしていた三菱電線工業について、調査委員会の報告書は、製品が基準を満たしていなくても、合格品として扱う値を示した「シルバーリスト」と呼ばれる表があったとしています。
さらに、三菱電線工業の村田博昭前社長については、平成25年の時点でデータの改ざんが行われている可能性を認識していたと話していることや、会社の破綻につながることを懸念し、不正の発覚後も製品を出荷していたと指摘しています。
また、三菱電線工業の高柳喜弘社長は、記者会見で不正について、「今の経営陣の中で一部の人は知っていたことになる」と述べました。
三菱マテリアルは、再発防止に向けて、データを改ざんできないように検査設備を自動化したり、外部のコンサルタントを入れて監査を強化したりするなどの取り組みをグループ全体で進めるとしています。また、調査委員会が来年2月末をめどにまとめる最終的な調査結果を踏まえて、処分を検討することにしています。
-- NHK NEWS WEB