認知症の高齢者が事故を起こし、家族が賠償を求められるケースが相次ぐなか、損害保険会社の間ではこうした事故に備える保険の開発が進んでいます。
このうち三井住友海上は、火災保険の特約として、認知症の高齢者が線路に立ち入って電車を止めたり、自転車で歩行者にけがをさせたりして、家族が賠償を求められた場合に保険金を支払う商品を開発しました。事故にいたらず安全確認のために電車が止まった場合など、これまで保険が支払われなかったケースも対象になるということです。
一方、東京海上日動は、今月から自動車保険の内容を改定し、認知症の人が事故を起こして家族が賠償責任を負った場合に、家族も補償の対象に含めることにしました。
認知症の高齢者が事故を起こし、家族が賠償を求められるケースが相次ぐなか、最高裁判所は、認知症の男性が電車にはねられ死亡した事故で家族がJRから賠償を求められた裁判で、おととし「家族に監督義務があるかどうかは総合的に考慮すべきだ」という初めての判断を示しました。
こうした裁判をきっかけに、認知症の高齢者を抱える家族の間で賠償責任への関心が高まっているということで、損害保険会社が、認知症に対応した保険を開発する動きは今後広がりそうです。
-- NHK NEWS WEB