結婚して妻の名字になったIT企業の社長が、外国人と結婚する日本人は夫婦別姓を選べるのに、日本人どうしの場合は選べないのは憲法に違反しているとして、国に賠償を求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは、ソフトウェア開発会社「サイボウズ」を経営する青野慶久社長(46)です。
訴えによりますと仕事上は旧姓の「青野」を使っていますが、自社の株式の名義が戸籍名の妻の名字になっているため、投資家に誤解を受けるなど不利益をこうむっているとしています。
夫婦が同じ名字にすることは民法で定められていますが、外国人は対象にならないため、日本人が外国人と結婚する場合は原則として別姓になり、同じ名字も選べます。
青野社長はこうした違いは法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、東京などの男女3人とともに国に賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。
夫婦別姓をめぐっては、3年前、最高裁判所が民法の規定は憲法に違反しないという判決を言い渡していますが、改めて司法の判断を求めることになります。
青野社長は、ウェブサイト上で訴えに賛同を求めていて、9日正午の時点で1万7000人以上が賛同しているということです。
青野社長は、「夫婦別姓を認めないのは経済的合理性から見ても日本の損失になっている。旧姓に法的な根拠を与えてほしい」と話しています。
一方、法務省は「訴状が届いておらずコメントできない」としています。
-- NHK NEWS WEB