水銀を入れた加熱式たばこを、会社の元同僚の男性に吸わせて、殺害しようとしたとして大津市の男が逮捕された事件で、被害を受けた男性が、NHKの電話取材に応じました。男性は、男から「給与未払いの『借金』をなくすために殺そうと思った」と伝えられたことを明らかにし、金銭トラブルが動機の一端ではないかと指摘しました。
大津市の設備業、宮脇貴史容疑者(36)は、去年6月滋賀県栗東市に住む37歳の男性に水銀を注入した加熱式たばこを渡して吸わせ、殺害しようとしたとして、10日殺人未遂の疑いで逮捕されました。
男性は、宮脇容疑者が以前経営していた会社の同僚で、栗東市の路上で渡された20本入りのたばこ1箱を、翌日にかけてパチンコ店などで10本余り吸ったあと、頭痛やろれつが回らなくなるなど中毒の症状が出て病院に運ばれていました。
警察によりますと、宮脇容疑者は調べに対し容疑を認め、「1本につき0.3グラムから0.5グラムの水銀を注入した」などと供述しているということです。
この事件で被害に遭った37歳の男性が、NHKの電話取材に応じ、「封の切られた加熱式のたばこを『たまたま買ったから』と手渡された。その場で吸うと宮脇容疑者は、こちらを凝視していた」と当時の状況について語りました。
男性は渡されたたばこを2日かけて14本吸いましたが、この間頭痛が続きうまくしゃべることもできなくなったということです。
たばこからは、液体が流れ出るなど不審な点もあり、男性がその後宮脇容疑者を問い詰めたということで、その際の様子について、「急に顔色が変わり『殺そう思った』と言われた。また『一緒に働いていたとき支払っていなかった給与などの借金をなくすためだ』」などと伝えられたと話していて、金銭トラブルが動機の一端ではないかと指摘しました。
男性は、「水銀と知ったときは、死を覚悟した。逮捕されたことには、ほっとしているが、元同僚に、とんでもないことをされたことが、とても寂しい」と振り返っていました。
-- NHK NEWS WEB