新しい高速炉の在り方を議論している政府の会議は19日、経済性を検証する実証炉の開発に向けては高速増殖炉「もんじゅ」を再開せずに、フランスをはじめ海外との協力などを通じて新しい知見を得ながら開発を進めるとした方針案をまとめました。
政府は、安全管理上の問題が相次いだ福井県の高速増殖炉「もんじゅ」は廃炉の方向で調整する一方、経済産業省や文部科学省、それに電力会社などが参加する「高速炉開発会議」で新しい高速炉の開発方針の検討を進め、19日の会議で方針案をまとめました。
方針案では、仮にもんじゅの運転を再開した場合、今後16年間で5400億円以上の費用がかかると見られることから、再開にかかる期間や費用などを考慮して今後はもんじゅを再開せず、新しい方策で必要な知見を得ていくとしています。
具体的には、フランスと協力して設計する実証炉や、高速実験炉「常陽」など国内外の施設などを通じて研究開発を進めることにしています。このほか、会議ではもんじゅを廃炉にした場合、30年かけて燃料の取り出しや施設の解体などを行うと、少なくとも3750億円が必要となることが説明されました。
会議では、さらに作業部会を設けて今後10年程度の間に必要な開発作業などを検討し、再来年をめどに高速炉開発の工程表をまとめることにしています。
-- NHK NEWS WEB