安全管理上の問題が相次いだ福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」について、政府は、地元・福井県との意見交換の場で運転を再開せずに廃炉にする方針案を示しました。これに対し福井県側は、国の反省が十分示されておらず、方針案は受け入れられないなどとして、見直して改めて回答するよう求めました。
政府は19日、経済産業省や文部科学省、それに電力会社などが参加する「高速炉開発会議」で、もんじゅの運転再開まで最低8年の準備期間が必要で、運転を続けると5400億円以上の費用がかかる見通しであることなどから、運転再開はせずに廃炉とし、もんじゅでこれまでに得られた知見やフランスとの開発協力などを活用して、別の高速炉開発を進める方針案をまとめました。
この方針案はその後、松野文部科学大臣と世耕経済産業大臣、それにもんじゅが立地する福井県の西川知事が出席して行われた意見交換の場で示され、政府側は、将来的にもんじゅの敷地内に新たな試験研究炉を設置するなど、もんじゅを含む周辺地域を原子力の研究拠点とすることも合わせて示しました。
これに対して、西川知事は「国の反省が十分に示されていない。もんじゅの運転を再開せず核燃料サイクルを維持できるかなど、議論を十分に尽くしたと思えず、拙速な感が否めない。廃炉にする場合の運営主体の議論も不十分だ」などと強く反発し、方針案は受け入れられないとして、見直して改めて回答するよう求めました。
このため政府は、西川知事の要請に対する回答の場を再度設け、近く方針案を決定する原子力関係閣僚会議を開くことにしています。
-- NHK NEWS WEB