新春恒例の「歌会始」が12日、皇居で行われました。
ことしの「歌会始」のお題は「語」で、全国と海外から合わせて2万首余りの短歌が寄せられました。
皇居・宮殿の「松の間」では、はじめに入選した10人の歌が天皇皇后両陛下や皇族方の前で古式にのっとって披露されました。
このうち、戦後最年少での入選を果たした長崎県佐世保市の中学1年生、中島由優樹さん(12)は、小学生の時の授業で敬語を習った際疑問に感じた気持ちを、「文法の 尊敬丁寧 謙譲語 僕にはみんな 同じに見える」と詠みました。
福井市の会社役員、川田邦子さん(70)は、がんで亡くなった夫が最後の望みをかけた治療のため自宅を出る時の様子を振り返って、「突風に 語尾攫(さら)はれて それつきり あなたは何を 言ひたかつたの」と詠みました。
続いて皇族方の歌が披露され、療養中のため欠席した皇太子妃の雅子さまは、去年11月、宮城県名取市の閖上地区を訪れた際、災害公営住宅に入居する被災者と懇談した時の気持ちを、「あたらしき 住まひに入りて 閖上の 人ら語れる 希望のうれし」と詠んだ歌を寄せられました。
皇太子さまは、雅子さまとともに閖上地区を訪れた際、復興が進む様子に安どする一方で、被災者の苦労を思い幸せを願った時のことを、「復興の 住宅に移りし 人々の 語るを聞きつつ 幸を祈れり」と詠まれました。
皇后さまは、長年、象徴としてのあるべき姿を求め、多くを語らず重責を果たされてきた天皇陛下の歩みを思いながら、「語るなく 重きを負ひし 君が肩に 早春の日差し 静かにそそぐ」と詠まれました。
最後に天皇陛下の、「語りつつ あしたの苑を 歩み行けば 林の中に きんらんの咲く」という歌が詠み上げられました。この歌は、日曜日の早朝に皇后さまと皇居の東御苑を散策していて、珍しいキンランの花が咲いているのを見つけた時のことを詠まれたものです。
来年の歌会始のお題は「光」で、「光」の文字が詠み込まれていればよく、「光線」や「栄光」のような熟語にしてもかまいません。作品は、12日から9月30日まで受け付けられます。
-- NHK NEWS WEB