イギリスのメイ首相は、高齢者などが抱える孤独の問題に取り組むため「孤独担当相」を新たに任命し、政府の戦略の策定に乗り出す方針を示しました。
「孤独担当相」は、弱者の支援に取り組み、おととしEU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐる国民投票の直前に極右思想の影響を受けた男に殺害された女性議員の遺志を継ごうと設けられるものです。
メイ首相は17日、この孤独担当相にトレイシー・クラウチ下院議員を任命すると発表しました。
メイ首相は声明で「孤独は現代社会の悲しい現実だ」としたうえで、「高齢者や介護者、家族を亡くした人などが抱える孤独を解消するため力を合わせましょう」と理解を呼びかけました。
イギリス政府によりますと、イギリス国内では900万人以上が常に、あるいはたびたび孤独を感じており、およそ20万の高齢者が1か月以上の間、友人や親類と話をしていないということで、こうした環境が健康に悪影響を与えているとの指摘も出ています。
イギリスでは去年、ダイアナ元皇太子妃の死去から20年を迎えたのに合わせて2人の王子が心の病への理解を呼びかけるなど、この問題への関心が高まっていて、イギリス政府は今後、慈善団体や企業からも意見を聴き、年内をめどに問題の解決に向けた政府としての戦略を取りまとめることにしています。
-- NHK NEWS WEB