3年前、大手広告会社、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺した問題で、25日、遺族が記者会見し、労働基準法違反の疑いで書類送検された当時の上司を検察が起訴しなかったのは不当だとして、検察審査会に審査を申し立てたことを明らかにしました。
この問題で、電通は社員に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われ、罰金50万円の判決が確定しています。
一方、同じ容疑で書類送検された当時の上司について、東京地方検察庁は、違法な残業をさせたと認定したうえで、違法性への認識が乏しいなどとして起訴猶予としました。
これについて、25日、母親の幸美さんと弁護士が記者会見し、不起訴は不当だとして、去年12月、東京の検察審査会に審査を申し立てたことを明らかにしました。
申し立て書では「長時間労働をさせたうえ労働時間を少なく申告するよう指示していた上司の行為は、違法性が高く、刑事責任は極めて重い」などと主張しています。
会見で、幸美さんは「違法な労働が会社の風土だったといった理由で個人の行為が許されてよいのか、日本全体に問いかけたい。娘と同じ苦しみの中仕事をする人をなくしてほしいという遺族としての強い思いです」と話していました。
電通は「有罪判決を受けたことを厳粛に受け止め、会社の責任を痛感し、深く反省しております。現在、労働環境改革と再発防止に取り組んでいるところです」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB