安倍総理大臣は衆議院本会議で、働き方改革をめぐり、働いた時間ではなく成果で評価するとして労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」は、残業代ゼロ制度との批判は当たらないと強調したうえで、関連法案の成立に全力を傾ける決意を示しました。
この中で、公明党の井上幹事長は、働き方改革に関連し、「教員の長時間勤務の実態も危機的状況にあり、看過することはできない。昨年、公明党は、教職員定数の拡充や学校現場での業務の適正化などの提言を行った。教員の処遇の在り方を検討するなど、教員の働き方改革をさらに進めるべきだ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「昨年末に、適正な勤務時間管理の実施、業務の効率化などの緊急対策を取りまとめ、必要な経費を平成30年度予算案に盛り込んだ。今後とも、勤務時間の上限の目安を示したガイドラインの検討など、教職員の長時間勤務の是正にしっかり取り組んでいく」と述べました。
衆議院の会派「無所属の会」の代表を務める民進党の岡田元代表は、森友学園の問題について、「なぜ、この問題が発覚して国会でも大きく取り上げられたときに、値引きの妥当性の調査を強く命じなかったのか。国民に対し、あまりにも正直ではなく無責任だ。森友学園に関する政府内のすべての記録を公開し説明責任を果たすべきだ」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「国民からの厳しい声や批判は真摯(しんし)に受け止めたい。国会で丁寧に説明してきたが、今後ともしっかりと説明していかなければならないと考えている。また、文書の管理・保存は各行政機関が責任を持って行っており、今後、国会の場で財務省など関係省庁からしっかり説明させてもらう」と述べました。
共産党の志位委員長は、働き方改革の関連法案をめぐり、「『高度プロフェッショナル制度』では、一定の年収の労働者は、どんなに働いても残業代はゼロで、労働時間規制もなくなる。過労死を一層ひどくするだけではないか。財界の立場に立った『働かせ方大改悪』にほかならない」と追及しました。
これに対し、安倍総理大臣は「『高度プロフェッショナル制度』は、働く人の健康を確保しつつ、意欲や能力を発揮できる新しい労働制度の選択を可能とするものであり、『残業代ゼロ制度』との批判は当たらない。今回の改革は、長時間労働に対する規制を強化するものであり、関連法案を早期に提出して成立に全力を傾注する」と述べました。
日本維新の会の下地国会議員団政務調査会長は、憲法改正について、「日本維新の会は、自民党が検討する憲法9条改正の発議に先立って『平和安全法制』の改正を求めていく。現在の『平和安全法制』を前提に憲法9条改正の国民投票を行っても、広く国民の理解を得ることは困難だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「『平和安全法制』は、国会で200時間を超える充実した審議を経て成立したものであり、政府としてはベストなものと考えている。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会で議論を深め、前に進めていくことを期待する」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、防衛力の強化に関連して「専守防衛は憲法の精神にのっとったもので、わが国の防衛の大前提だ。今後ともいささかの変更もない。いわゆる『敵基地攻撃』については、米国の打撃力に依存しており、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていない」と述べました。
また、長距離巡航ミサイルについて、「憲法上、保有が許されないとの指摘は当たらない」と述べたほか、自衛隊が空母を保有することについて、「これまで、政府として空母の保有に向けた具体的な検討を行ってきた事実はない」と述べました。
-- NHK NEWS WEB