安倍総理大臣は、参議院本会議の代表質問で、核兵器禁止条約に日本が参加していないことに関連して、北朝鮮の脅威が差し迫る中、核兵器によるアメリカの抑止力が必要不可欠だとしたうえで、現実的な観点から核兵器のない世界の実現に努める考えを示しました。
この中で、公明党の山口代表は、核兵器禁止条約に日本が参加していないことに関連して「条約は、国際的に核兵器を禁止する規範が確立されたという点から、画期的な意義がある。わが国は、唯一の戦争被爆国であり、積極的に核保有・非保有各国間の橋渡し役として、主導的な役割を果たし、核軍縮の結果を出していくべきだ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の進展がわが国の平和と安定に対する重大かつ差し迫った脅威となっており、日米同盟のもとで通常兵器に加えて、核兵器によるアメリカの抑止力を維持していることが必要不可欠だ」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「現実の安全保障上の脅威に的確に対処しながら、唯一の戦争被爆国として主導的役割を果たすことにより現実的な観点から、『核なき世界』を実現する努力を重ねていく」と述べました。
共産党の小池書記局長は、働き方改革の関連法案について「残業を月100時間まで可能にする政府案は、『過労死の合法化』ではないか。安倍総理大臣は『柔軟な働き方を可能にする』と言うが、実際には労働者にとっての『柔軟な働き方』ではなく、経営者にとっての『柔軟な働かせ方』にほかならない」と追及しました。
これに対し、安倍総理大臣は「史上初めて、労働界・経済界の合意のもとに、36協定でも超えてはならない罰則つきの時間外労働の限度を設ける。今回の改革は、長時間労働に対する規制を強化するものであり、『過労死の合法化』という批判は全く当たらない」と述べました。
また、安倍総理大臣は、憲法改正をめぐり、「多くの国民は望んでいない」と指摘されたのに対し、「私もしっかりと国民の声に耳を傾けて真摯(しんし)に受け止めたい。ただ、憲法改正について、賛成が5割を超える世論調査や6割以上が『議論を進めるべき』と回答した調査もある。こうした声も排除せず、耳を傾けてもらいたい」と強く反論しました。
一方、安倍総理大臣は、北朝鮮情勢について「最近の南北間の対話は評価するが、その間も北朝鮮は核・ミサイル開発を継続している。ピョンチャンオリンピックの開会式に出席する機会に、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と会談し、『圧力を最大限まで高めていく方針からぶれてはならない』と直接訴え、日米韓の緊密な協力を改めて確認したい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB