巨額の粉飾決算が発覚した半導体製造装置メーカーの株主が起こした裁判で、東京地方裁判所は、会社の元役員らに加え、証券会社の主幹事として上場に向けた監督を行っていた証券会社にも賠償を命じる判決を言い渡しました。上場の審査をめぐって証券会社に賠償を命じる判決は初めてです。
神奈川県相模原市にあった半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」は、平成21年、東証マザーズに上場しましたが、100億円を超える粉飾決算が明らかになってわずか半年で上場廃止となり、個人株主ら200人余りが賠償を求める訴えを起こしました。
20日の判決で、東京地方裁判所の谷口安史裁判長は、元役員らに責任があったと認めたうえで、証券会社の主幹事として上場に向けた監督を行っていた旧みずほインベスターズ証券、現在の、みずほ証券についても、「粉飾決算を指摘する情報があったにもかかわらず、追加の調査などを十分に行っていなかった」と指摘しました。
そのうえで、元役員らに合わせておよそ1億7500万円、みずほインベスターズ証券にはこのうち3000万円余りについて責任があるとして賠償を命じました。
上場の審査をめぐって証券会社に賠償を命じる判決は初めてです。一方、東京証券取引所に対する訴えは退けました。エフオーアイの粉飾決算をめぐっては、元社長と元専務が金融商品取引法違反の罪で懲役3年の実刑判決が確定しています。
判決のあと原告側の弁護士は「部分的にではあるが、証券会社の責任が認められたのは画期的だ。東京証券取引所の責任は否定され、納得できない部分もあるので、控訴を検討する」と話していました。
また、原告の男性は「ずさんな審査が通ってしまうと私たち個人投資家は何を信頼して投資すればいいのだろうかという気持ちが強くなってしまいます」と話していました。
-- NHK NEWS WEB