インターネット上の仮想通貨を取り扱う国内の大手取引所「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨が流出した問題で、流出した仮想通貨は外部のネットワークにつながった状態で保管されていて、専門家からはセキュリティー対策の不十分さを指摘する声が出ています。
仮想通貨の大手取引所、コインチェックでは、26日午前3時ごろ、外部からの不正なアクセスによって、その時点のレートで580億円に相当する「NEM」と呼ばれる仮想通貨が流出しました。
流出したのは顧客が預けていた資産で、会社は、取り扱っている仮想通貨の大半について売買の取り引きや日本円での出金を停止して原因の究明を進めていますが、補償や売買再開のめどは立っていません。
会社によりますと、今回流出したNEMは、「ホットウォレット」と呼ばれる外部のネットワークにつながった状態で保管されていたということです。この会社では、ほかの仮想通貨の中には外部のネットワークから遮断されセキュリティーの度合いが高いとされる「コールドウォレット」と呼ばれる状態で保管しているものもありました。
会社側は、NEMについても対策の必要性を認識していたものの、技術的に難易度が高いことや人材不足によって手が回っていなかったと説明しています。
これについて、仮想通貨に詳しい京都大学公共政策大学院の岩下直行教授は、「NEMは主要な仮想通貨に比べると取り引き量が少ないこともあり、対策が後回しになったのではないか」として、セキュリティー対策が不十分だったことが流出につながった可能性を指摘しています。
一方、金融庁は28日にも会社側から詳しい状況の報告を受け、対応を検討することにしています。
-- NHK NEWS WEB