厚生労働省は、皮膚が乾燥する症状の治療に使われる保湿用の塗り薬が化粧品代わりに使われるケースが後を絶たないことを受けて対策を検討した結果、薬の処方に規制は設けないものの、治療以外の目的で処方されないよう確認作業を強化する方針を決めました。
大阪市の製薬会社が販売している保湿用の塗り薬、ヒルドイドは皮膚が乾燥する症状の治療薬ですが、美容のため化粧品代わりに使われるケースが後を絶たず、厚生労働省は、本来の目的以外での薬の処方が増えれば医療費の増大につながるとして対策を検討してきました。
しかし、がん患者の団体から、「抗がん剤による皮膚の乾燥の治療には保湿剤が欠かせず、処方を一律に制限するのは避けるべきだ」といった意見が寄せられたほか、中医協=中央社会保険医療協議会の委員からも慎重な対応を求める声が出たことを踏まえ、厚生労働省は薬の処方に規制を設けないことを決めました。
ただ、治療以外の目的で薬が処方されるのを防ぐため、今後、医療機関に支払われる診療報酬を審査する社会保険診療報酬支払基金に対し、薬が適切に処方されているか十分に確認するよう求めていく方針です。
-- NHK NEWS WEB