NHKの番組「日曜討論」で、政府が提出を予定している働き方改革の関連法案について、与党側は、多様な働き方を可能にするものだなどとして、今の国会での成立を目指す考えを強調したのに対し、立憲民主党などは、長時間労働につながりかねない内容が含まれていて問題だなどとして、対案を提出する考えを示しました。
政府は、時間外労働の上限規制を導入する一方、収入が高い一部の専門職を対象に働いた時間ではなく成果で評価するとして、労働時間の規制から外す高度プロフェッショナル制度を設けるなどとした働き方改革の関連法案を、今の国会に提出する方針です。
これについて、自民党の新藤政務調査会長代理は、「70年ぶりの大改革であり、労働基準法ができてから今まで、実質的に残業時間の上限がなかったのを今回、しっかり入れる。短い労働時間でも、きちんと給料がもらえるように時間の概念ではなく、成果や能力に応じた賃金体系にしていかなければいけない。多様な働き方や、それぞれの状況に応じた柔軟な働き方を可能にするためのパッケージの法案だ」と述べました。
公明党の石田政務調査会長は、「今まで罰則がなく、ある意味、時間外労働の上限がなかったところに、キャップをかぶせ、上限を超えられないようにすることは、極めて画期的ではないか。働き方改革は、今国会の最大の課題という位置づけなので、しっかり取り組んでいきたい」と述べました。
立憲民主党の長妻代表代行は、「禍根を残す法案だ。最大の問題は青天井に働かせることができる働き方を拡大していくことだ。裁量労働制を営業職にまで拡大すれば、間違いなく過労死が増える。われわれが提案するのはインターバル規制で、退社から出社まで最低11時間空けることの法制化だ」と述べました。
希望の党の長島政策調査会長は「時間外労働に罰則つきの上限規制を設けたことは評価する。パワーハラスメントの規制や防止、学校でワークルールのようなことを教えていない教育の問題、教員の過剰労働など、長時間労働の規制だけではなく包括的な働き方改革を提案していく」と述べました。
民進党の足立政務調査会長は、「高度プロフェッショナル制度などは、働かせる側のニーズだ。過労死の認定基準にある月100時間と複数月80時間を超えて働いてもいいというのは理屈が成り立たない。パワーハラスメントは職場内だけでなく、全体的な対策が必要だ」と述べました。
共産党の笠井政策委員長は、「会社にとって柔軟な働かせ方をしようというのが高度プロフェッショナル制度で、いわゆる残業代ゼロ法案だと言いたい。労働者は成果が上がるまで同じ賃金で、際限なく働かされることになる」と述べました。
日本維新の会の浅田政務調査会長は、「労働力人口が減る中で求められるのは、労働生産性を高め、労働市場を流動化させることだ。労働市場の流動化に必要なのは官民格差を含めた同一労働同一賃金と解雇ルールの明確化だ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB