21兆円余りに膨らんだ東京電力福島第一原子力発電所の事故の賠償や廃炉の費用をめぐり、負担の在り方を検討してきた国の有識者会議は、中核となっている原子力事業などでほかの電力会社との再編や統合を強く促し、収益改善を図るべきだとする提言をまとめました。
国の有識者会議が20日にまとめた提言では、東京電力福島第一原発の廃炉や賠償、それに、除染などの費用21兆円余りのうち、16兆円は事故を起こした東京電力が確保するとしています。
ただ、費用を賄うには東京電力単独では限界があり、他社との連携で収益改善を図り、国民の負担増にならないようにするべきだとしています。具体的には、新潟県の柏崎刈羽原発などの原子力事業や、電気を家庭などに送る送配電事業で、ほかの電力会社との再編や統合を進めるよう強く促しています。
また、当初の計画では来年3月に国の関与を減らすかどうか判断する予定でしたが、廃炉や賠償などについては国の関与を続けていくとしています。
一方、賠償の費用について国は、電力自由化以降に参入した事業者の利用者も含めて、電気の利用者のほとんどに負担を求める新たな制度を設ける方針ですが、提言では国に対しても制度の透明性を確保し、国民負担を抑えるよう求めています。
国と東京電力はこの提言に基づき、抜本的な改革を進め、国民負担をいかに抑えることができるかが課題となります。
-- NHK NEWS WEB