安倍総理大臣は衆議院予算委員会で、憲法に自衛隊を明記することに重ねて意欲を示す一方、戦力の不保持などを定めた9条2項の削除については、集団的自衛権の全面的な容認につながるとしたうえで、否定的な考えを示しました。
この中で希望の党の大西健介氏は、磁気治療器のオーナー商法などで多額の資金を集めながら資金繰りに行き詰まって銀行取引が停止された「ジャパンライフ」をめぐり「被害にあった高齢者の多くは、老後の蓄えを身ぐるみ剥がされて、このままでは自殺者が出てもおかしくない。悲痛な声が寄せられているが、どう思うか」とただしました。
これに対し安倍総理大臣は「消費者庁が新たな消費者被害の防止、既存契約者への通知による財産の保護など法令に基づき対応を進めてきた。何よりも消費者の保護を図ることが大事であり、引き続き対応に万全を期していきたい」と述べました。
衆議院の会派「無所属の会」の原口一博氏は、憲法改正をめぐり「9条を変えなければ日本国民を守ることはできないのか。また、憲法に自衛隊を明記した場合、その自衛隊はいわゆるフルスペックの集団的自衛権を行使できるようになるのか」と質問しました。
これに対し安倍総理大臣は「日本の平和と安全を担っている自衛隊の存在自体をしっかりと憲法に明記するべきだと考えている」と述べ、憲法に自衛隊を明記することに重ねて意欲を示しました。
一方、戦力の不保持などを定めた9条2項の削除については「9条2項を変えることになれば、フルスペックの集団的自衛権を認めることは可能になろうかと思う。ただ、2項をそのまま残すという私の提案では、フルスペックの集団的自衛権の行使は認められないのではないかと考えている」と述べ、否定的な考えを示しました。
共産党の赤嶺政賢氏は、沖縄県でアメリカ軍のヘリコプターによる事故やトラブルが相次いでいることをめぐって「県民が1番おそれているのは、今に重大な事故につながりかねないということだ。言葉だけの対応を繰り返す政府の姿勢もその不安を増大させている」とただしました。
これに対し安倍総理大臣は「沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら基地負担の軽減に全力を尽くすことが政府の一貫した方針だ。今後、沖縄の基地負担軽減をはじめ、各般の政策課題に内閣としてこれまで以上に気を引き締めて取り組んでいきたい」と述べました。
日本維新の会の馬場幹事長は、年金制度をめぐり「国民からの信頼が低下しており、国民の多くは大きな不安を抱えている。今の国民年金制度が、この先50年、100年やっていける制度だと思うか」と質問しました。
これに対し安倍総理大臣は「持続性と安定性を向上させるために5年ごとに大きな改正を行ってきた。また、安倍政権が発足してから数十兆円の運用益を上げ、年金財政も安定してきた。さらなる改善が必要かどうかということを常に検討していく必要がある」と述べました。
また、世耕経済産業大臣はスーパーコンピューターの開発をめぐる助成金詐欺事件を受けて、経済産業省の助成金の審査に携わった外部の有識者に政治家からの働きかけの有無を確認したと説明したうえで、「現時点で確認できる範囲では、政治家の関与は無かった」と述べました。
-- NHK NEWS WEB