中東のサウジアラビアで、多数の王族や実業家が汚職の疑いで拘束された事件で、現地の司法当局は、これまでに没収した資産の総額が11兆円以上にのぼることを明らかにしました。
サウジアラビアでは去年11月以降、王位継承者のムハンマド皇太子の指揮のもと、政財界に影響力のある多数の王族や実業家が汚職の疑いで一斉に拘束され、一部は容疑を認めたうえで、巨額の資産の没収に応じたと伝えられてきました。
サウジアラビアの司法当局は30日、これまでに没収した資産の総額が日本円で11兆5000億円以上にのぼることを明らかにし、この中には不動産や企業、有価証券なども含まれているということです。
欧米の複数のメディアは、世界有数の投資家で総資産が1兆8000億円以上と見られているワリード王子など、著名な王族や実業家らも先週末までに拘束されていた高級ホテルから釈放されたと伝えています。ただ、ワリード王子などが、実際に資産の没収に応じたのかなど、詳しい釈放の条件については、依然として明らかになっていません。
サウジアラビア政府としては原油安に伴う厳しい経済情勢のもと、国民に対して王族や著名な実業家を特別扱いしないという強い姿勢を示すことで、ムハンマド皇太子が進める経済改革への協力を促したい狙いがあるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB