大量の仮想通貨が大手取引所から流出した問題で、30日夜、流出した仮想通貨のうち少ない額をインターネット上の複数の口座に分散する動きが確認され、専門家は、仮想通貨を複雑に動かすことで追跡を難しくしようとしているのではないかと指摘しています。
仮想通貨の大手取引所、コインチェックから流出した「NEM」と呼ばれる仮想通貨およそ580億円分は、インターネット上にある合わせて10の口座に移されたことがわかっています。
仮想通貨の取り引きの記録はすべて公開されているため、NHKがこれらの口座を監視していたところ、30日午後10時半ごろ、およそ8000円分が1つの口座から別の口座に移されたことが確認できました。
その後も1万円程度のNEMをほかの口座に移す動きは14回にわたって続き、流出したNEMは現段階では19の口座に分散された形となっています。
その一方で、全く別の口座からこれらの口座に数円から数百円程度とごく少額のNEMを送る動きも断続的に見られました。
流出したNEMをめぐっては、関係者が口座に目印をつけるなどして追跡を続けていますが、そうした中で確認された今回の動きについて、仮想通貨のセキュリティーに詳しい楠正憲さんは「これまでの仮想通貨の盗難事件でも見られた手口で、不特定多数の口座を巻き込んで追跡を難しくする狙いがあるのではないか」と話しています。
-- NHK NEWS WEB