欧米の中央銀行が金融緩和の縮小に向かう中、市場では大規模な緩和を続ける日本の金融政策の行方に注目が集まっています。こうした中、先週開かれた金融政策決定会合では、日銀が早期に金融緩和の縮小に向かうという見方が広がることは好ましくないという意見が出たことがわかりました。
日銀は今月22日と23日に開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策を維持し、31日、この会合で9人の政策委員から出された「主な意見」を公表しました。
それによりますと、会合では2%の物価目標の実現に向けて今の緩和策を続けていくことが重要だという意見が相次ぎました。
こうした中、1人の委員から「物価目標の実現に距離がある現状では、市場で日銀が早期に金融緩和の縮小に向かうという見方が広がることは好ましくない」という意見が出ました。
これは今月9日、日銀がその日に買い入れる国債の量を減らしたことをきっかけに、市場で日銀が緩和の縮小に動くという観測が広がって、円高ドル安が急に進んだことなどを受けたものと見られます。
その一方で会合では「今後、経済や物価の改善が続く場合には、金利水準の調整の検討が必要になる可能性もある」として、金融緩和の縮小につながる金利引き上げの可能性に言及する意見も出ました。
また、日銀が株式を組み込んだ投資信託であるETFを大量に買い入れていることについて「株価や企業収益が大きく改善していることなどを踏まえると、効果と副作用についてあらゆる角度から検討すべきだ」という意見も出るなど、欧米の中央銀行が金融緩和の縮小に向かう中、政策委員の間で今後の金融政策の方向性をめぐる議論が活発化していることがうかがえます。
-- NHK NEWS WEB