認知症の原因であるアルツハイマー病を、症状が出る前でも簡単な検査で発見できることにつながる技術を、国立長寿医療研究センターと大手精密機器メーカーが共同で開発しました。
認知症の原因の1つであるアルツハイマー病は、症状が出る20年以上前から脳の中にβアミロイドという物質の一種が蓄積を始めることがわかっていますが、高額な検査などを行わないかぎり、症状が出る前に病気に気付くのは難しいとされています。
こうした中、国立長寿医療研究センターと大手精密機器メーカーの島津製作所は、脳に蓄積すると血液中に含まれるわずかな量のβアミロイドの一種が減ることを発見し、これを応用して簡単にβアミロイドが蓄積しているかわかる技術を開発したとして、記者会見を開きました。
日本とオーストラリアの高齢者およそ230人に対して臨床研究を行い、およそ90%の確率で、βアミロイドが蓄積しているか判定することができたということです。
16年前にノーベル化学賞を受賞し、今回の開発に加わった島津製作所の田中耕一さんは「微量な物質の測定技術を、病気の治療や検査などに応用できるよう今後も努力していきたい」と話しています。
国立長寿医療研究センターの柳澤勝彦所長は「当面は、治療法の開発のための患者を見つけ出すために使い、将来的には検診にも使うことができればと考えている」と話しています。
-- NHK NEWS WEB