広島市で原爆の被害を受けながらも翌日には送電を再開した旧変電所が老朽化を理由に解体されることが決まりました。多くの被爆した建物の老朽化が進んでいて、維持管理の在り方が課題となっています。
解体されることが決まったのは爆心地からおよそ3.8キロの広島市南区宇品御幸にある「旧中国配電南部変電所」です。昭和18年に建設された鉄筋コンクリート造りの2階建ての建物は原爆で窓ガラスが割れるなど被害を受けましたが、原爆投下の翌日には送電を再開しました。
その後、平成6年まで中国電力の変電所として使われたあと飲食店などに貸し出されていましたが、この5年ほどは使われておらず、外壁が剥がれ落ちるなど老朽化が進んでいました。
建物を所有していた中国電力の子会社は去年12月に不動産会社に売却し、この不動産会社では維持管理が難しいとして解体することを決めたということです。
広島市では被爆の実相を後世に伝えるため、今後、建物の一部をモニュメントとして残す方向で会社側と検討を進めています。
広島市は爆心地から5キロ以内に残る建物を「被爆建物」として登録し、最も多いときで98件に上っていましたが、最近は減少傾向で、今回解体されると85件となり、老朽化が進む建物をどのように維持管理していくかが大きな課題となっています。
-- NHK NEWS WEB