終戦後、愛知県豊橋市から無償で提供を受けた土地を大手繊維メーカーが売却したことは契約違反だとして、地元の市民が豊橋市長に対して土地の売却代金63億円をメーカー側に請求するよう求めていた裁判の判決で、名古屋地方裁判所は、市に売却代金の全額をメーカー側に請求するよう命じました。
大手繊維メーカーのユニチカは、昭和26年、愛知県豊橋市から無償で譲り受けたおよそ27万平方メートルの土地を、3年前、大手住宅メーカーに63億円で売却しました。
これについて、豊橋市の市民130人は、当時の契約では「使用計画を放棄した部分は市に返還する」と定められていて、使用しなくなった土地は返還する義務があるのに市は返還を求めず財産の管理を怠ったと主張して、豊橋市長に対し売却代金の63億円をユニチカ側に請求するよう求めていました。
一方、豊橋市側は「土地の返還を求める権利はない」と主張して争っていました。
8日の判決で、名古屋地方裁判所の市原義孝裁判長は「使用を放棄した土地はユニチカ側に返還義務があると解釈でき、返還せず第三者に売却したのは不法行為と認められる」として市民側の訴えを認め、市長に対して土地の売却代金にあたる63億円をユニチカ側に請求するよう命じました。
判決について、豊橋市は「判決文が届いておらず、回答できない」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB