アメリカのトランプ次期大統領の経済政策への期待から、外国為替市場でドルが買われ、逆にアジアでは現地の通貨が売られる通貨安が進んでおり、輸入物資の価格上昇などインフレへの懸念が高まっています。
先月8日のアメリカ大統領選挙のあと世界各地の外国為替市場では、トランプ次期大統領が掲げるインフラへの大規模投資など経済政策への期待から、ドルが買われる展開が続いています。
アジア各国ではドルが買われ現地の通貨が売られる通貨安が進んでおり、マレーシアのリンギットは21日の時点で1ドル=4.48リンギットとアメリカ大統領選挙の前に比べ6%余り下落し、アジア通貨危機のあとの1998年の水準まで値下がりしました。
またシンガポールのドルもおよそ4%、インドネシアのルピアとタイのバーツもおよそ3%、軒並みドルに対して下落しています。
マレーシアでは通貨安を受け、中央銀行が企業に対し輸出で得た外貨の大半を国内通貨に両替するよう義務づけるなど対策を講じていますが、今のところ目立った成果を上げられていません。
通貨安は輸出産業の利益を押し上げる一方で、食料や資源など輸入物資の価格上昇を招くおそれもあり、市場関係者は通貨安がインフレにつながらないか注意深く見守っています。
-- NHK NEWS WEB