巨額の仮想通貨が流出した大手取引所のコインチェックは、問題の発覚後に停止していた顧客による日本円の引き出しを13日に再開します。ただ、仮想通貨の引き出しは停止したままで、顧客の間では、このところ価格が大幅に下落しながらも預けた仮想通貨を引き出せず、「含み損」が膨らむ問題も起きています。
大手取引所のコインチェックは先月26日、外部から不正なアクセスを受け580億円相当のNEMと呼ばれる仮想通貨が流出しました。
これを受けて会社は、問題が発覚した直後から、顧客から預かっている日本円と仮想通貨の引き出しや、ビットコインを除く仮想通貨の売買を停止しました。
このうち、日本円の引き出しについては、システムの安全性が確保できたとして13日に再開することにしています。ただ、顧客から預かっている仮想通貨の引き出しは停止したままで、顧客の間では、このところ価格が大幅に下落しながらも、預けた仮想通貨を引き出せず、売りたくても売れずに「含み損」が膨らむ問題も起きています。
去年11月からコインチェックを利用して仮想通貨に投資している神奈川県の34歳の男性は、流出が発覚した際、当時のレートでNEMを10万円相当、それ以外の仮想通貨で200万円相当を預けていました。
このうち、NEMは流出し補償されることを待っています。一方、ほかの仮想通貨は、取り引きが継続されているビットコイン以外の11種類は“塩漬け”になっていて、この間の大幅な値下がりで時価は一時、半分ほどにまで減少したということです。
男性は「会社側の都合で取り引きの機会が奪われたことに怒りを感じる。何らかの形で補償してほしい」としていますが、コインチェック側は「流出被害以外への補償は考えていない」としています。
仮想通貨の情報サイト、コインマーケットキャップによりますと、仮想通貨全体の時価総額は、この1年余りで一時50倍以上に膨らみ、その後、乱高下しています。
特に、日本では去年4月に改正資金決済法が施行され、仮想通貨の取引所の登録制度が世界に先がけて始まったことで、取引所の信用が増し、成長分野として資金が集まったことで値上がりに拍車がかかりました。
専門家は、セキュリティー対策や国による監視体制が十分に整う前に、仮想通貨が投機の対象となり、急速に値上がりしたことが今回の問題での被害の拡大につながったと指摘しています。
-- NHK NEWS WEB