世界遺産の「富岡製糸場」がある群馬県富岡市で、歴史的な建造物の耐震性を高めるため最先端の炭素繊維を建物に取り入れることになり、16日、設計を担う建築家の隈研吾さんが現地を視察しました。
富岡市にある「富岡倉庫」は、明治から大正にかけてつくられたレンガと木造の倉庫で、「世界遺産センター」などに活用される計画ですが、老朽化が激しく、今年度から耐震補強工事が行われています。
16日は、工事の設計を担う建築家の隈研吾さんと繊維メーカーの代表らが富岡倉庫を視察に訪れ、炭素繊維を張り巡らす「はり」や柱の様子を確認しました。
今回使われる炭素繊維は、鉄製のワイヤーよりも強度が10倍程度も高い一方で重さは5分の1しかなく、富岡市などは世界遺産の富岡製糸場でも耐震補強材として導入することを検討しています。
隈研吾さんは、「日本の建築は木材の優しさと繊細さという性質を持っていたが、20世紀の工業化の時代にコンクリートによってズタズタにされてしまった。これからの建築は繊細さを復活すべきで、炭素繊維はその一つの主役になる」と話しています。
-- NHK NEWS WEB