今回のピョンチャンオリンピックで、スピードスケートの選手が着用しているレーシングスーツは、日本スケート連盟と大手スポーツ用品メーカーのミズノが共同で開発しました。
ウレタンが素材の強い張りのある生地が使われているのが大きな特徴で、左右に引っ張って伸ばしても、すぐに縮んで元の状態に戻ります。ウレタンを使った生地は肩から上半身にかけてと、でん部や太もも部分に配置されています。
この生地のスーツ全体に占める割合は、前回のソチオリンピックのものではおよそ35%だったのに対し、今回のスーツではおよそ55%に増やしたということで、体の締めつけを強くすることで体幹をより安定させて前傾姿勢の維持を助けるほか、後ろに蹴って伸ばした脚を体に引き寄せる動作もサポートしているということです。
メーカーの広報担当、木村和広さんは「このスーツを着ると、滑っている間の前傾姿勢を保ちやすくなる。レース中に疲れてきて上半身が起き上がってしまうのを抑え、スピードのロスを減らすことにつながる」と話しています。
さらにこのメーカーでは、ギリギリまで手直しや調整に対応しようと、スピードスケートの会場がある韓国・カンヌンのホテルの一室に日本からミシン2台を持ち込みました。
今大会のスーツは、先月、それぞれの体型に合わせて作られましたが、その後、選手の体型の微妙な変化や生地の伸び縮みで着心地にわずかな違和感が生まれるため、オリンピック開幕前の現地での練習中に、選手たちから着心地を聞き取ったうえで、ミリ単位で手直しをしたということです。
翌日の練習に間に合わせようと、作業が深夜に及んだ日もあったということで、木村さんは「選手たちと一緒に戦っている気持ちで全力でサポートしている。今後の競技も声をからして応援したい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB