世界的に地球温暖化対策が進展する中、外務省の有識者会合は今後のエネルギー外交戦略について、これまでのように石油など化石燃料資源の確保を目指す外交ではなく、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーの開発支援などを柱とすべきだなどとする内容の提言をまとめました。
この有識者会合は、地球温暖化対策の国際的な枠組「パリ協定」の発効などを受けて河野外務大臣の指示で設けられ、19日、今後のエネルギー外交戦略に向けた提言をまとめて、河野大臣に手渡しました。
提言では世界が再生可能エネルギーへの転換に向かう中で、「日本の立ち遅れが顕著になっている」として、これまでの石油など化石燃料資源の確保を目指すエネルギー外交を見直し、「これからは再生可能エネルギー外交を柱とすべきだ」としています。
そのうえで、新しいエネルギー外交として、パリ協定に沿って、石炭火力発電の輸出への公的支援は速やかな廃止を目指すべきだとしたほか、日本の省エネや、再生可能エネルギーを活用する技術や投資などで途上国に貢献することや、日本企業の環境技術が活用できるよう世界的な基準づくりに積極的にかかわっていくべきだなどととしています。
提言を受けた河野大臣は「世界的なルールが変わる中、日本も先取りして対応しなければならない。気候変動の影響に危機感を感じている国は多く、日本の外交も問われている。政府の中の議論にしっかり役立てていきたい」と述べました。
また外務省は、19日から3日間開く、主な資源国の在外公館の担当者会議でも、従来の石油などの資源だけでなく、再生可能エネルギーをめぐる現地の状況や支援の可能性でも意見を交わすことにしています。
-- NHK NEWS WEB