山口県に本社を置く化学メーカーの「宇部興産」は、電力ケーブルなどに使われるポリエチレン製品を、取引先の企業と取り決めた検査を行わずに、架空のデータを記入して出荷していたことを明らかにしました。
発表によりますと、宇部興産は電力ケーブルや通信ケーブルに使われるポリエチレン製品を、取引先の企業と取り決めた製品の強度などの検査を行わずに、架空のデータを記入して出荷していたということです。
不正は、千葉県市原市にある「千葉石油化学工場」で、過去の検査で得られた数値を引用する形で行われ、1990年代には不正が始まっていたとしています。
出荷した取引先は50社に上りますが、製品の品質や安全性には問題がないとしています。
会社側は、今回の不正を去年12月の時点で把握しましたが、2か月余りが過ぎた23日になって、対外的に公表しました。
会見で山本謙社長は、今回の不正について謝罪したうえで、「品質の確認や顧客への説明を優先して行った。今後は再発防止策を徹底するのが私の責任だと考えている」と述べました。
日本の素材メーカーでは、去年10月に神戸製鋼所で検査データの改ざんが発覚して以降、三菱マテリアルや東レのグループなどでも製品の検査をめぐる不正が相次いで明らかになっていて、日本の製造業全体の信頼が揺らぎかねない事態となっています。
-- NHK NEWS WEB