アメリカのトランプ政権は、北朝鮮に対する新たな制裁として、北朝鮮との密輸のため洋上での物資の積み替えなどに関与していた中国や台湾などを拠点とする56の運輸会社や船舶などへの制裁を発表しました。過去最大の制裁だとしていて、北朝鮮がピョンチャンオリンピックで融和ムードを演出する中、北朝鮮への圧力を強める姿勢を鮮明にしました。
アメリカのムニューシン財務長官は23日、記者会見し、北朝鮮に対する制裁として新たに56の運輸会社や船舶などに制裁を科すと発表し、対象の数や影響面で「過去最大だ」とアピールしました。
対象となったのは、北朝鮮に加え、中国や台湾それにシンガポールなどを拠点とする運輸会社やパナマやタンザニア船籍の船舶などで、北朝鮮との密輸のため、国連安保理決議で禁止されている石炭や石油などの物資を洋上で積み替えるいわゆる「瀬取り」に関与していたとしています。制裁を受けて、これらの会社などはアメリカとの取り引きが禁じられ、アメリカ国内の資産が凍結されます。
ムニューシン財務長官は「北朝鮮の核ミサイル計画の資金を支援する、いかなる企業もアメリカとはビジネスができなくなる」と述べ、今後も北朝鮮への圧力を強める姿勢を鮮明にしました。
さらに、トランプ大統領も、東部メリーランド州での演説で、「かつてない厳しい制裁を北朝鮮に科した。何か前向きなことが起きることを望んでいる」と述べ、制裁の効果に期待を示しました。
「瀬取り」は北朝鮮が制裁を逃れる手口となっていて、トランプ政権は安保理の制裁決議の実効性を高めるため、各国に今回発表した制裁と同様の措置を取るよう呼びかけていくとしています。
アメリカとしてはピョンチャンオリンピックで北朝鮮が融和ムードを演出する中、独自の制裁を発表することで、北朝鮮への圧力強化に向けて各国の協力を引き出したい狙いもあるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB