イタリアで経営の建て直しを目指していた大手銀行が、資本増強のための出資者を確保できず自力での再建を断念したことを受け、イタリア政府はこの銀行に公的資金を投入して支援していくことを決めました。
イタリアでは、多額の不良債権を抱えた大手銀行の「モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ」が、経営の建て直しを目指して資本の増強に向けた民間の出資を募っていましたが、今月行われた国民投票のあと、政治の先行きに不透明感が増す中、出資者を確保できず、自力での再建を断念していました。
これを受けてイタリア政府は閣議を開き、23日未明、この銀行に公的資金を投入して支援することを決めました。
今回の支援の具体的な金額は明らかにされていませんが、イタリア政府によりますと、議会が21日、経営難に陥った銀行を支援するために承認した最大2兆4000億円の予算の一部が充てられるということです。
イタリアでは銀行の債券を保有している年金生活者などが多く、今回、イタリア政府は、こうした人たちから債券を額面どおりの価格で、事実上買い取る方針を示しています。
イタリアでの銀行救済をめぐっては、過去に個人の債券保有者が負担を求められ、政権批判につながったことから、政府としてはこうした人たちを守る措置を取ることで、来年にも行われる議会選挙への影響を最小限に抑えたい狙いもあると見られます。
-- NHK NEWS WEB