横浜市に本社がある日産自動車が、9年前の派遣社員の解雇をめぐって労働組合との団体交渉を拒否したことについて、神奈川県労働委員会は「日産自動車は部分的だが派遣社員の『使用者』にあたる」として27日、団体交渉に誠実に対応するよう命令しました。
平成21年3月に日産自動車で、派遣社員として勤務していた2人が解雇されたことについて、加盟する労働組合が団体交渉を申し入れたのに対し、会社側が直接雇用関係にないことを理由に拒否したため、組合が、おととし1月、神奈川県労働委員会に救済を申し立てました。
これについて、県労働委員会は「日産自動車が2人と面談したあと派遣会社が採用を決定するなど部分的ではあるが、採用や雇用の終了を決めていた」と指摘しました。
そのうえで「労働契約上、派遣社員の『使用者』は派遣会社だが、今回の日産自動車は法律上の『使用者』にあたり、団体交渉を拒否する正当な理由がない」として、27日、組合と交渉するよう救済命令を出しました。
また、別の派遣社員1人についても、裁判で雇用関係にないと判断されたことを理由に交渉に応じないのは不適切だと指摘し、誠実に対応するよう命令しました。
27日の判断について、労働組合の弁護団は「これまで『派遣切り』の問題で派遣先に団体交渉に応じるよう判断されたケースはなく、画期的だ」と話しています。
日産自動車は「命令の内容を精査したうえで、今後の対応を検討します」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB