リニア中央新幹線の建設工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は大手ゼネコン4社による不正な受注調整に関わったとして「大成建設」の元常務と「鹿島建設」の担当部長を独占禁止法違反の疑いで逮捕しました。特捜部は巨大プロジェクトの入札の詳しい経緯について実態解明を進めるものと見られます。関係者によりますと、2人は談合への関与を否定しているということです。
逮捕されたのは、大手ゼネコン「大成建設」の元常務執行役員、大川孝容疑者(67)と「鹿島建設」の担当部長の大澤一郎容疑者(60)です。
東京地検特捜部によりますと、大川元常務と大澤部長は平成26年から翌年にかけて、JR東海が発注したリニア中央新幹線の品川駅や名古屋駅の新設工事の入札で、「大林組」や「清水建設」の当時の幹部らとともに事前に受注業者を決めるなどの談合をしていたとして、独占禁止法違反の疑いが持たれています。
リニア中央新幹線はおよそ3兆円の国の融資が投入された巨大プロジェクトで、駅の新設工事は難工事で発注額が大きいとされていますが、関係者によりますと、大川元常務と大澤部長らは都内の飲食店で複数回にわたって会合を開くなどして、受注を予定する業者やJR側に提示する見積価格を事前に調整していた疑いがあるということです。
関係者によりますと、これまでの調べに対し、大川元常務は「談合はしていない」などと容疑を否認しているほか、大澤部長も「他社と情報交換したことはあるが、不正な受注調整にはあたらない」などと容疑を否認しているということです。
一方、「大林組」と「清水建設」の当時の幹部は、談合への関与を認めているということです。
特捜部は入札の詳しい経緯についてさらに実態解明を進めるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB