政府が日銀の黒田総裁を再任する人事案を提示したことを受けて、2日、衆議院の議院運営委員会が開かれ、この中で黒田総裁は「2%の物価目標の実現に向けて総仕上げを果たすべく、全力で取り組んでいく」と述べ、大規模な金融緩和を続ける考えを強調しました。
政府は先月16日、来月に任期満了を迎える日銀の黒田総裁を再任する人事案を提示し、これを受けて衆議院の議院運営委員会は2日、黒田総裁から所信を聴き、質疑を行いました。
この中で黒田総裁は冒頭、「再任された場合、2%の物価目標の実現への総仕上げを果たすべく全力で取り組んでいく覚悟だ。強力な金融緩和が続く中、年金の運用に与える影響など、さまざまな議論があることは承知しているが、こうした点も十分検討しながら、物価目標の実現を最優先に政策運営を行いたい」と述べ、副作用に目配りしつつ、今の大規模な金融緩和を続け、デフレ脱却を目指す考えを強調しました。
このあとの質疑で黒田総裁は、金融政策の今後の方針について「今の金利の誘導目標を一切変更しないということではなく、必要があればさらなる緩和も検討する」と述べ、物価の動向などによっては、追加の金融緩和もありえるという認識を示しました。
また、黒田総裁は「今後、物価の上昇率が1%台に上がってくると、市場が長期金利に上昇圧力をかけてくるかもしれないが、それを直ちに受け入れて長期金利を0%程度で推移させるという操作目標を引き上げてよいかというと、現時点では慎重に、消極的に考えている」と述べ、現時点で金利の誘導目標の引き上げに慎重な考えを示しました。
そのうえで、黒田総裁は異例の金融緩和を正常化させていく、いわゆる「出口政策」の考え方について、「現時点では私も含めて政策委員は2019年度ごろには物価の上昇率が2%程度に達すると見ているので、出口政策というものをそのころ検討するようにしているというのは間違いないと思う。ただ、物価はまだ、小幅のプラスにとどまっている。あくまで出口にさしかかったところで議論を進め、市場と必要なコミュニケーションを図ることになると思う」と述べました。
衆議院の議院運営委員会は、来週5日には日銀の新たな副総裁の候補者である早稲田大学の若田部昌澄教授と日銀の雨宮正佳理事から所信を聴き、質疑を行うことにしています。
-- NHK NEWS WEB