アメリカの大手鉄鋼メーカーのUSスチールは、アメリカ国内の需要の増加が見込まれるとして、3年前に操業を休止した工場を再開させることを決めました。トランプ大統領が鉄鋼製品などに高い関税を課す輸入制限措置を打ち出したことを受けた判断だとしています。
アメリカの大手鉄鋼メーカー、USスチールは7日、中西部イリノイ州にある、現在操業を休止している工場の再開を決めたと発表しました。この工場は、鉄鋼の世界的な供給過剰で価格が低迷した2015年から操業を取りやめていました。生産の再開には4か月かかる見通しで、およそ500人が職場に復帰するということです。
USスチールは、トランプ大統領が鉄鋼製品などに高い関税を課す輸入制限措置を打ち出したことで、アメリカ国内の鉄鋼の需要の増加が見込まれることが操業を再開する理由だとしていています。
ブリットCEOは「われわれはあまりにも長い間、不公平に輸入される鉄鋼に苦しめられてきた。公平に闘うためには大統領の強いリーダーシップが必要だ」と述べ、トランプ大統領を称賛しています。
ただ輸入制限措置の対象とされている鉄鋼とアルミニウムの産業がアメリカのGDP=国内総生産に占める割合は0.3%にすぎないため、専門家からは「経済効果が限定的で、高い関税によって鉄鋼製品が値上がりすれば、かえって鉄鋼の需要が減る」という指摘が出ています。
-- NHK NEWS WEB