アメリカのトランプ大統領は、鉄鋼製品などに高い関税を課す異例の輸入制限措置を発動する文書に署名しました。今回の措置は日本企業への直接の影響にとどまらず、日本の経済成長の前提となってきた自由貿易の枠組み自体を揺るがしかねないと懸念されています。
経済産業省によりますと、去年1年間の日本からアメリカへの輸出額は、鉄鋼で1855億円と、鉄鋼の輸出全体の6.0%。アルミニウムは250億円と、輸出全体の9.8%となっています。
日本が対象から除外されずに措置が発動されると、アメリカに鉄鋼やアルミニウム製品を輸出する日本企業は関税が引き上げられる分、コストがかさむことになり、採算の悪化や輸出量の減少といった直接の影響が予想されます。
また、アメリカに輸出されていた各国の製品がほかの地域に流入して価格競争が激化し、特に日本メーカーは、主要な市場になっているアジアでの業績が悪化する懸念もあります。
一方、今回の措置によって、アメリカ国内で鉄鋼などが値上がりして自動車メーカーなどの製造コストが上がるほか、物価の上昇も予想され、好調な消費が減速しかねないと指摘されています。
-- NHK NEWS WEB