アメリカのトランプ大統領は、鉄鋼やアルミニウムに高い関税を課す異例の輸入制限措置を発動する文書に署名しましたが、この措置の主な対象とされている中国では、メーカーの間でアメリカに代わりヨーロッパなどを新たな輸出先にしようと、対応を急ぐ動きも出ています。
このうち従業員およそ200人の香港の建設資材メーカーは、中国南部の広東省東莞にある工場で、アルミニウムの鋼材に木目や大理石のような加工を施した外壁材などを生産しています。
日本円でおよそ9億円の売り上げの中で、アメリカ向けの輸出は20%程度を占めており、重要な市場だということです。
トランプ大統領が、アルミニウムにも高い関税を課す意向を表明してからは、措置の発動を警戒するアメリカの取引先から、1回当たりの発注量を減らされたり、納品を早めるよう催促されたりしているということです。
この会社では以前にもアメリカによる関税引き上げで一部の製品を輸出できなくなったことがあったということで、再び輸入制限措置の対象になれば、アメリカ市場での競争力を失いかねないと懸念を強めています。
このため会社ではヨーロッパや中東、オーストラリアに輸出先を切り替えることも視野に現地での営業を強化して、新たな取引先の開拓を急いでいます。
建設資材メーカーの劉達邦会長は「心配で毎朝、関連のニュースをチェックしている。貿易戦争が起きたら誰も得をしないので、保護主義的な政策はとるべきではないが、国家間の問題なので一企業としてはどうしようもできない」と話していました。
-- NHK NEWS WEB