建設現場でアスベストを吸い込み肺の病気になった東京などの元作業員と遺族が起こした裁判で、2審の東京高等裁判所は、1審に続いて国の責任を認めた上で賠償の対象を広げ、合わせて22億円余りを支払うよう命じる判決を言い渡しました。一連の集団訴訟で高裁の判決は2件目で、いずれも国の責任を認めました。
住宅などの建設現場で働いていた東京や埼玉、それに千葉の元作業員と遺族合わせて354人は、建材に含まれていたアスベストを吸い込んで肺がんなどの病気になったとして、国と建材メーカー42社に賠償を求めました。
1審の東京地方裁判所は、国の責任を認めた一方、メーカーへの訴えは退け、双方が控訴していました。
14日の2審の判決で東京高等裁判所の大段亨裁判長は「昭和50年以降、国は事業者に防じんマスクの着用を義務づけるべきだった」と指摘し、国に対して、原告のうち327人に合わせて22億8000万円を支払うよう命じました。
また、これまでの集団訴訟では「保護の対象にならない」と判断されてきた、個人で仕事を請け負う「一人親方」についても、初めて、労働者と同じように保護されるという判断を示しました。
一方、建材メーカーについては、「どの社の製品を扱っていたか具体的に特定できていない」として、責任を認めませんでした。
一連の集団訴訟で高裁の判決は2件目で、いずれも国については責任があったという結論になりました。
-- NHK NEWS WEB