国連安全保障理事会で採択された、北朝鮮に対する制裁決議の実施状況を調べる専門家パネルのトップが、NHKのインタビューに応じ、北朝鮮の制裁逃れは巧妙だとして、石油業界や船舶の保険を扱う保険会社など民間企業に北朝鮮との取引に関与しないよう、働きかけていることを明らかにしました。
北朝鮮制裁委員会の専門家パネルで座長を務めるヒュー・グリフィス氏は15日、ニューヨークの国連本部でNHKの単独インタビューに応じました。
この中でグリフィス氏は、安保理理事国が北朝鮮による核実験と弾道ミサイルの発射が、核不拡散体制を脅かすとの認識から、決議の履行に真剣に取り組んでおり、制裁は機能していると評価しました。
そのうえで、北朝鮮による制裁逃れの動きについて「北朝鮮は巧妙で、利用できるものをすべて利用している」と述べ、「瀬取り」と呼ばれる洋上での船から船への石油精製品の積み替えや、ペーパーカンパニーを介した金融取引、紛争国への軍事物資の輸出などをいかに防ぐかが課題だと指摘しました。
グリフィス氏は、制裁逃れを防ぐには、民間企業の協力が欠かせないとして、石油業界や船舶の保険を扱う会社などに北朝鮮や北朝鮮と関係のある船舶との契約や取引に関与しないよう働きかけていることを明らかにしました。
さらに、グリフィス氏は、アメリカや日本が、北朝鮮による洋上での物資の積み替えの疑いがある事例を安保理の制裁委員会に通報していることに謝意を示し、決議違反を監視する包囲網の強化に期待を示しました。
-- NHK NEWS WEB