「およそ500万人分の個人情報が中国の業者にわたっていた」。
日本年金機構からの委託はどう行われ、情報はどう扱われていたのか?
一連の流れをまとめます。
日本年金機構が東京・豊島区の情報処理会社「SAY企画」に委託したのは、ことしの年金で所得税控除を受ける人のデータ入力です。競争入札が行われて「SAY企画」が落札し、去年8月に委託契約が結ばれました。
これに伴い、日本年金機構から年金の所得税控除を申請したおよそ690万人の個人情報が「SAY企画」に提供されました。
この個人情報には、本人や親族の氏名と生年月日、それにマイナンバーや本人の基礎年金番号、親族の年間所得額などが含まれていました。
契約では、個人情報を保護するため別の業者に入力業務を再委託することを禁止していました。個人情報が複数の業者にわたると年金機構の指導や管理が行き届かなくなったり、情報が次から次へと別の業者に流れたりするおそれがあるためです。
ところが、日本年金機構によりますと、「SAY企画」は、提供を受けた個人情報のうち受給者およそ500万人の扶養者の氏名を中国・大連の業者に渡し、データ入力業務を再委託していました。
「SAY企画」の切田精一社長は、中国の会社に渡したデータは氏名だけで「個人情報の流出にはあたらないのではないか」と話しています。
中国の会社は切田社長が設立に関わり現在も役員を務めているということで、社長はグループ会社という感覚で再委託したという認識が薄かったとしています。
「SAY企画」のホームページによりますと、この会社ではデータベースの作成や資料の電子化、それにシステム開発やウェブサイトの制作などの業務を行っています。民間の調査会社によりますと、取引先の90%は官公庁で、厚生労働省や特許庁などの委託事業を手がけていたということです。
-- NHK NEWS WEB