南米ペルーのクチンスキー大統領は、自身の汚職疑惑で政治を混乱させたとして辞意を表明し、今後、第1副大統領が大統領に昇格する見通しです。
クチンスキー大統領は、おととしのペルー大統領選挙でフジモリ元大統領の長女ケイコ氏に僅差で勝利しましたが、かつて閣僚を務めていた時期に、ブラジルの大手建設会社から自身が関係するコンサルティング会社に日本円にしておよそ9000万円が支払われていたという汚職疑惑が持ち上がっています。
この疑惑を追及している野党はクチンスキー大統領の罷免決議案を議会に提出していて、22日に採決が行われる予定でしたが、その前日になってクチンスキー大統領は突如ビデオメッセージを発表し辞意を表明しました。
この中でクチンスキー大統領は、自身の潔白を主張したうえで、政治を混乱させたとして「国に今必要とされている団結や融和の障害にはなりたくない」と述べ、辞任することを明らかにしました。
これを受け、近くビスカラ第1副大統領が憲法の規定に従って大統領に昇格する見通しだとペルーのメディアは伝えています。
クチンスキー大統領は去年12月、在任中の罪で収監されていたフジモリ元大統領に突如恩赦を与えましたが、当時、議会で自身に対する罷免決議案が可決されるのを阻止するために、フジモリ派の議員たちと取り引きをした結果ではないかと疑われています。
クチンスキー大統領が結局辞任に追い込まれた背景は明らかではありませんが、これでペルー政治の混乱が収まるかは不透明な情勢です。
-- NHK NEWS WEB